原田ひ香『喫茶おじさん』を読んで喫茶店のイメージが変わった|読書冒険マラソン記4

原田ひ香『喫茶おじさん』を読んで私の喫茶店のイメージが変わった
目次

本の紹介

読書冒険マラソンの第4作目です。

読書冒険マラソンとは…
れんげの働いている図書館にある日本の小説(913.6)を、著者一人につき一冊ずつ順番に読んでいき、全作家制覇を目指す企画です。
備忘録としてこのブログに感想を残していきます。
基本、書架に並んでいる順(五十音順)に進め、それまでに読んだことのある著者も今一度読みます。
作家それぞれの世界を冒険しに行ってきます!

1冊目(五十音順じゃない)、2冊目(五十音順最初の作家さん)ときて、3冊目はまた五十音順ではなく、4冊目も五十音順ではなかったです。

選んだのはこの本です。

『喫茶おじさん』

著者:原田ひ香(はらだ ひか)

発行年:2023年10月

発行所:株式会社小学館

253ページ

分類番号:913.6ハ

この本を選んだきっかけ

題名に”?”

喫茶店が好きなおじさんかな……?

表紙のかわいらしいイラストに惹かれて予約しました。

感想

主人公について

のっけからどうも冴えない無職のおじさんが主人公です。

(無職の理由はすぐに明かされます。)

「あなたは何もわかっていない」と、身近な複数の人から言われています。

妻は家を出ていき、大学生の娘からも嫌われていますが本人には理由がわかりません。

わかりませんが、深く考えず、あきらめムードで(自己肯定感も低そう)ゆるく就職活動をしながら人に会ったり、趣味として喫茶店巡りをしています(カフェではない)。

喫茶店巡りをしておいしいコーヒーとお菓子を楽しんでいて、その店の名物を注文し「おいしいなあ」と時には声に出して素直な感想をつぶやいています。

単純なのか

極楽とんぼなのか

鈍感か

そんな様子に「そんなんで大丈夫?」「え、どうするのこれから?」と腹が立ってしまいました。

しかしこの素朴な「おいしいなあ」の一言で、この主人公が悪い人間ではないことを感じます。

決して物事がわからない人間ではなく、ただ自分の腹に落とし込むのに時間がかかるだけなのだと思いました。

その素直さが、主人公の好感度ポイントです。

 

しかしあまりにもこの主人公に対する周りの人たちの評価とそれを隠そうとしない態度がひどく、だんだんそちらのほうに怒りがわいてきました。

主人公は不倫の末、一度離婚はしていますがそこまで悪い人間ではなく、愚直といってもいい人物です。

まあ皆が言う通り、恵まれているのかもしれませんが、無職で家族に嫌われていて周りの人にはばかにされ、一人でいるのもつらいものがあるでしょう。

しかも、本人も周りにどう思われているか、うすうす(またははっきりと)気づいているのです。

そう思ってみると、何もわかっていない、と主人公を非難し、大変ぶって自分の境遇を嘆いている周りの人たちのほうが、主人公に八つ当たりをしているようにも思えてきました。

人として、人にそこまで無礼な態度をとってもいいものか?と思いました。

そして、何もわからないと小ばかにされようが、おいしいものを食べて素直に喜んでいるほうが幸せなのかもしれないと思いました。

今回この主人公はだんぜん松重豊さんのイメージで読みました。

(観たわけではありませんが一人で店を食べ歩くドラマの役の影響でしょう)。

私にとって喫茶店とは単なるぜいたく品(だった)

主人公はほぼ月一で喫茶店に出かけてゆくのですが、一日に2件以上はしごすることもあり、この点に一番驚きました。

私は一人の時は喫茶店にはほとんど行かないからです。それを、はしごするなんてって…

私がなぜ一人の時に喫茶店にほぼ行かないかというと、もったいないからです。

家で自分でお茶を入れて飲めばほとんどお金はかからないのに、場所を変えるだけで数百円、ときには千円以上も取られるなんて、もったいないじゃないですか。

なので用事の行きも帰りもどこにもよらずに家に帰ります。

喫茶店なんて贅沢だと思っていました。

だから主人公が無職にも関わらず喫茶店でしっかり飲み食いをして、しかもはしごまでするということに自分との価値観の違いをものすごく感じて驚きました。

しかしこの小説を読み終わった今では、私の喫茶店に対する見方が変わりました。

人生の時間をつぶす場所

主人公がおいしいものに素直に感動しながらその時その時心を占めていることをぼんやり考える……それが喫茶店という場所。

自分の家ではない分、少し日常を離れて考えられる場所

そして主人公が娘と話し合う場面でわかるように、周りに他の客がいることにより、家よりも冷静になれる場所でもあります。

主人公は物語の最後である計画を実行に移し、新たな人生のスタートを切ります。

その新たな道へと進むことができたのは、喫茶店で時間を過ごすうちに過去を振り返ったり、知らず知らず自分と向き合う時間を重ねていたからだと思いました。

主人公はほんのひととき、人生の時間をつぶしていた。

でもその時間はただつぶされていたのではなく、リラックスして自分と向き合い、思索するための時間になっていたのだと思います。

私はこの本を読んで、そのような時間の使い方もありだとわかりました。

お金では買えない時間を過ごせるということに、喫茶店の価値があるのだと思いました。

そしてそこに不可欠なのはおいしいスイーツやトースト、軽食などのメニュー

この本の中にはたぶん有名店がたくさん出てきていたのだろうと思います(私にはまったくわかりませんでした)。

それぞれの喫茶店の雰囲気や看板メニューなど詳細に描写されていて楽しめました。

原田ひ香さんはこんな人

1970年、神奈川県生まれ

神奈川県立鶴見高等学校卒業

この高校はムロツヨシさんも卒業されています。

その後大妻女子大学文学部日本文学科卒業

最初はプロットライターをされていました。

2007年に「はじまらないティータイム」で第31回すばる文学賞を受賞して小説家デビューされました。

『あさ酒』『ランチ酒』『口福のレシピ』『定食屋「雑」』『図書館のお夜食』『古本食堂』『まずはこれ食べて』など、うちの図書館にある原田ひ香さんの、食べ物にまつわる本(たぶん)だけでこれだけありました。

いつも本を返すときに見るのですが本棚の原田ひ香さんの場所には庶民の食べ物のお店がたくさん並んでいるイメージです。

”カフェ”ではなく”喫茶店”、”レストラン”ではなく”食堂”という感じなのがミソです。

おいしいものをたくさんご存じなんだろうと思います。

まとめ

原田ひ香さんの『喫茶おじさん』を読みました。

読んでみたら私の「喫茶店」のイメージが変わりました。

私もふらっと喫茶店に入って時間をつぶすということをしてみたいです。

たぶんできないと思いますが。

最後までお読みいただきありがとうございました。

原田ひ香『喫茶おじさん』を読んで私の喫茶店のイメージが変わった

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