伊吹有喜『鎌倉茶藝館』を読んで~鎌倉でお茶を淹れたり年下男性と浴衣で花火デートしたり!|読書冒険マラソン記7

鎌倉茶藝館
目次

本の紹介

『鎌倉茶藝館』

著者:伊吹有喜(いぶき ゆき)

発行年:2025年8月

発行所:光文社

333ページ

この本を選んだきっかけ

新刊で入ってきたとき、表紙の雰囲気が素敵だったので目を引きました。

鎌倉のイメージをほうふつとさせるものでした。

今年は鎌倉に2度遊びに行っていて、鎌倉に対する親近感が高まっていた時だったのと、

伊吹由喜さん原作の『カンパニー』の宝塚舞台をテレビで観て面白かったので、この方の本を一度読んでみたかったのもあって予約しました。

読書冒険マラソンの第7作目です。

読書冒険マラソンとは…
れんげの働いている図書館にある日本の小説(913.6)を、著者一人につき一冊ずつ順番に読んでいき、全作家制覇を目指す企画です。(れんげの図書館にない本を取り寄せて読んだ場合も、せっかくなので書いています。)
備忘録としてこのブログに感想を残していきます。
基本、書架に並んでいる順(五十音順)に進め、それまでに読んだことのある著者も今一度読みます。
作家それぞれの世界を冒険しに行ってきます!

感想

この本のポイントは「お茶」「着物」「花」です。

それらが鎌倉という特別な地とコラボし、素敵な雰囲気が作られています。

「お茶」「四季」「着物」

鎌倉茶藝館は、鎌倉の山中にあるレトロな喫茶店です。

「お茶」…主に中国茶が出てきて本場の入れ方でふるまわれます。

同じ茶葉を何度も入れ、一杯目、二杯目、三杯目、四杯目くらいまで味わうのですが、それぞれ味わう間に味が変化していき、いろんな味を感じることができる奥深いもののようです。

お茶の味が変わっていく描写を読むと、そんなに味が変化する本場の茶葉と入れ方で味わってみたくなります。

私はコーヒーよりお茶が好きなので、魅力的でした。

お茶の大半は主人公が飲んでいる描写で、お客さんとのやりとりでは詳しくは語られません。

鎌倉茶藝館を訪れるお客さんも何人か出てきますがおまけみたいなものです。

お茶の奥深さは客とのストーリーの中でではなく、あくまで主人公の心と体に影響を与えるものとして描かれます。

お茶の名前が、漢字ばかりなのでまず読めなくて、難しかったです(烏龍茶、茉莉花茶は読めた)。

「四季」…鎌倉を季節ごとに彩る山や寺の花が紹介されたり、夏は海、花火大会など、風情がありました。

鎌倉ではリスも見られます。

鎌倉に行ったとき観光地の人ごみのなかの電信柱にリスがいるのを見て驚いたことがありますが、普通の風景らしいです。

それから海、神社仏閣、江ノ電なども身近にある感じが鎌倉っぽくていいです。

「着物」…主人公が呉服関係の仕事についていたこと、そして茶藝館のオーナーの孫(のちオーナー)が日常を着物で過ごす人なので、着物の種類や着こなしの様子がたくさん出てきます。

鎌倉という古都に住み、カフェに行ったり浴衣を着て花火を観たり、朝食を食べに行ったり海沿いをドライブしたり、寺に紫陽花を見に行ったり。

それが観光ではなく日常ということで描かれているのが素敵だと思いました。

主人公がよくわからない

この本には49歳の、人生どん底の主人公(女性)が出てきます。

まず学生時代の恋人に捨てられ、その後結婚した夫が急死したあと、その夫が自分を裏切っていたことを知る。

その後不倫したが、奥さんとはうまくいってないというのは嘘で、利用されていたのが発覚したり。

仕事も失い。

それで、自殺をしようと、恋人との思い出の地である鎌倉にやってきます。

私はこの主人公が最後までよくわからなかくて、それはなぜか考えてみたのですが、

説得力を感じない。

一見どん底のようですが運が悪かったのは最後をのぞけば男関係ばかりで、体は健康でまた働けば収入を得られるはずだし、人生に疲れて死を選ぶには早すぎる、甘ったれているのではないかと思いました。

生きる気力をなくし身辺整理をして、死に場所を探しているが、その割には出会った男性の体つきに即座に魅力を感じたりしている様子が、生ぬるく感じました。

死に場所を探しに行くのに着物を着ていくというのも、現実離れしていると思いました。

着物の男もよくわからない

そんな主人公に好意を寄せる二人の男性。

一人目は茶藝館のオーナーの孫で、普段着が着物。知性的でイケメンで背が高い。(以下”着物男”と書かせていただきます)

二人目は三十そこそこの会社経営をしている男性で、積極的(以下”若いの”)。

主人公は、着物男に暖かく見守られ、惹かれながらも若いのに溺れていきます。

この着物男も私はよくわからなかったです。

主人公のことを好きで何度もアタックするのに、若いのを味見して見ろとかも言うし。

他の登場人物もよくわからない

着物男の祖母も、自分の孫の着物男と主人公をくっつけたいと思っているにも関わらず、若いのが気になる主人公をたきつけたりして。

自分の欲望を押し付けず自由を尊重するのが大人の余裕、ということなのでしょうか。

若いのの母親も出てきますが、この母親もアクの強い人です。

自分の息子である若いのと、男女間のけっこうきわどい話をすることろが信じられませんでした。

私には息子がいないのでよくわからないのですが、そこのところが新鮮でした。

情欲のシーンは上品

情欲シーンは抽象的できれいです。

着物男とのときは主人公は奥手で初々しさがありますが一線は越えないです。

若いのとのときは、打って変わって積極的にふるまい、馬乗りになったりします。

年上の余裕。それに翻弄される若いのがかわいくみえました。

若いのにからんでくるライバルの女性(20代)に主人公が、自分と若いのは恋人だと、におわせするシーンがあってそこは頑張ったな!と思いました。

なんだかんだ楽しそうです。

花火 紫陽花 浴衣 海 花火…

鎌倉での夏の恋、いいですね。

結末に驚いたこと

主人公が最後ある決断をするのですが、最後の最後で関係者がみんな茶藝館に集うようになり、その関係がまだまだ続いていく、ように感じるラストは少し気持ちが悪かったです。

決断したのはいいが、その状況だとこの先も今と変わらないのでは…と、生ぬるい読後感でした。

キャスト妄想

自分で主人公をよくイメージできなかったので、最後に、この作品を演じるとしたら誰がしっくりくるかを考えてみました。

主人公…49歳で、美人でスタイルも良く足が綺麗(チャイナ服のタイトスカートのスリットからのぞく足がきれいという描写あり)なことから、「49歳前後の美しい女性芸能人は?」とAIに聞いてみたところ、内田有紀さん、米倉涼子さん、吉瀬美智子さん、井川遥さん、中谷美紀さん、小雪さんが挙げられました。

この方たち49歳前後だったんですね。こんなに綺麗なら、20歳年下男性も惹かれるでしょう。

この中だと私のイメージに合う人は、井川遥さん

和服も似合い、たおやかで色っぽいイメージなので。

じつは田中みな実さんが一番イメージに合うのですが、彼女はまだ10歳ほど主人公より若いのでやめました。

なぜ田中みな実さんかというと、作中に「あざとくて何が悪いの」的な発言を主人公が言い放つシーンがあったからです。

 

着物男は、「49歳前後の男性芸能人で知的で背が高くイケメンで和服が板についている人は?」と同じくAIにきいたところ、オダギリジョーさん、竹野内豊さん、西島秀俊さんが挙げられました。

このなかだと、オダギリジョーさんが演じているのを観てみたい気がします。

着物男は持病があり、ちょっとけだるい雰囲気を醸し出せそうなオダギリジョーさんは適任な感じがします。

髭はないほうがいいです。

 

若いのは多くあてはまる俳優さんがいると思いますが、AIによると横浜流星さん、吉沢亮さん、高杉真宙さんが挙げられました。

ここは横浜流星さんがピッタリかなと思いましたが、あえて高杉真宙さんを推したいと思います。

年上の女性を求める情熱的な激しさと、最初は母親の思惑により主人公を調べるために近づいたのにミイラ取りがミイラになり本気になってしまう、という葛藤を、今乗りに乗っている横浜流星さんの表現力で観てみたいとも思いましたが、若いのは主人公や母親の前ではかわいく見えてしまうので、そのかわいさを童顔の高杉真宙さんが演じたら似合いそうだなと思いました。

年の離れた感じをより出してくれつつ、リードするところはリードする多少強引なところもある若いのを、オダギリジョーさんの色気に負けずに是非演じてほしいです。

伊吹有喜さんはこんな人

伊吹有喜(いぶき ゆき)

1969年(昭和6年)三重県出身

最終学歴:中央大学法学部卒

小説家 

代表作:『四十九日のレシピ』『ミッドナイト・バス』など

『雲を紡ぐ』で2021年に高校生直木賞を受賞

高校生直木賞というのは、高校生が選考を行う日本の文学賞だそうです。

私は前述したとおり、『カンパニー』の舞台版とテレビドラマ版の両方を楽しく観ました。

まとめ

鎌倉という特別素敵な場所で、四季折々のお花や行事を通して描かれる、大人の恋。

お茶と着物が落ち着いた雰囲気を感じさせます。

私にとってはよくわからない人物が多く登場した小説でした。

とくに主人公が好きでなさ過ぎて早い段階で読むのをやめようかと思いました。

全部読み終えて感じるのは、自分には大人の恋愛小説が向いてないのかもしれないということです。

そのことについては以後検証していこうと思いました。

最後までお付き合いくださりありがとうございました。

鎌倉茶藝館

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