本の紹介
「怖いけど面白い予防医学」
著者:森勇磨(もり ゆうま)
発行年:2023年3月
発行所:世界文化社
253ージ
前半は「体験者は語る」感じで、実際にその病気になった人の体験談という形で病気の進行と症状、治った後の生活が以前とどう変わるのかが具体的にわかるようになっている。
治った後の生活の感想が聞ける機会はなかなかないので興味深かった。
それらは基本架空の話なのだが、実際の症例が盛り込まれている。
著者は産業医で、現場で見聞きしていることをもとに書いているので、結構リアルである。
その病気になった人の性別・年齢・生活習慣などは参考になる。同じくらいの年齢や生活習慣の例を読むと身近に感じられ、他人ごとではなく気を付けようと思う。
病気後の生活は、前向きに語られてはいるがやはり大変そうで、正直こんな生活はごめんだと思ってしまう。
産業医ならではの視点
会社の部署により健康診断結果が偏っていることがあるという。
例えば、残業の多い部署や飲み会が多い部署の人間はそうでない部署に比べて不健康になりがちであったり、喫煙者の先輩に憧れてつい喫煙ルームに誘われるまま行って煙草を吸ってしまったりなど。
確かに生活習慣病と言われるほど日々の生活の仕方に健康は影響されるから、見過ごせない影響がでてきてもおかしくないと思った。
そのような場合、長いものに巻かれるのではなく、勇気を出して行動を変えることが大事だと書かれている。
環境は大事ですね。
読んで心に響いたこと
むやみに受けなくてもよい検査もある。
精度がよくなかったり、デメリットを被る可能性がある検査のこと。
患者の立場ではなかなか分からなかいので、教えてもらってよかったと思った。
脳ドック
脳ドックは無症状の人が受けるとデメリットになりうる。理由は、間違った診断で必要のない手術を受ける人が一定数いるからだとか。
世界では全然広がっていない検査だということ。
私はある時期物忘れがひどくなり、もしや若年性アルツハイマーか?と心配になり脳の状態がどうなっているのか見るために(隙間が空いていたら嫌だなと思って)脳ドックを受けたことがある。
幸い結果は異状なしだったが、今となっては、あわてて受けなくてもよかったなと思った。
むやみに受けないほうが良い検査もあるのですね。
ちなみに物忘れがひどくなったのは出産後の一時期だった。
後から何かで知ったのだが、出産後は一時的に物忘れがひどくなる人もいるらしい。
腫瘍マーカー
腫瘍マーカーは、人間ドックの時などについでに申し込んでしまいがちな気軽な検査である。
しかしこの検査の解析は単純ではなく、難しいらしい。そのため空振り(ほかの原因で陽性になっている)の可能性もあるため、メリットが少ないそうだ。(一部の腫瘍マーカーを除く)
今まで、受けようかどうしようか迷って結局やめることが多かった検査だが、私の場合は今のところはメリットが少ないとわかり、今後は悩むことなく受けるのをやめられそうで良かった。
(受けるメリットがある場合もあるので、そこは個人の判断で!)
シンプルに大事なことはやっぱりこれしかない
生活習慣病を防ぐには、言い尽くされていることだがやはり運動が一番。
私のように性別的にも年齢的にも骨粗しょう症予備軍の人は、水中ウォーキングではなく、地面から刺激を受ける運動が良いとのこと。例えばウォーキングやエアロビクスなど。
著者について
森勇磨(もり ゆうま)
出身地:愛知県名古屋市
神戸大学医学部医学科卒
youtubeでも情報を発信されています。(「予防医学ch」登録者数40万人)
また「ウチカラクリニック」というオンライン完全対応のクリニックを開設されています。
まとめ
ただ生活習慣病の予防のしかたを書いた本であれば、あまり心に響くことはなかったであろうと思われる。
実際に同じような年齢や環境の人が病気になったことを語ることで、経緯や病後の生活を現実感をもってわが身に置き換えて考えることができたのはとてもよかった。
そして男性なら前立腺、女性なら骨粗しょう症に気を付けること。
それから結局、生活習慣病を予防する一番大事なことは運動だというシンプルな事実がストンと腑に落ちた。
一日10分、15分からでいいので、ウォーキングなどの運動をすることが一番良いということがわかった。
今まで同じことをTVや本などでさんざん聞いてきたが、本当にそれが大切なのだ。
私はウォーキングはしたことがないのだが、そろそろ本気で運動することを考えなければならないと感じた。
いかに毎日歩くか(または相当の運動)…それを考えなければならない。
最後までお読みいただきありがとうございました。