「図書館にまいだこどもの超大質問」を読んだきっかけ
こどもの斬新な質問がおもしろく、それに司書さんがどう応えるか知りたかった。
勉強になりそうと思った。
「図書館にまいこんだこどもの超大質問」の概要
編者:こどもの大質問編集部
出版年月:2024年4月
出版社:青春出版社
「図書館にまよいこんだこどもの大質問」の続編。
図書館にはレファレンスサービスというものがある。
調べ物をするときに、自分の探す情報がどの本に載っているかを探してくれるサービス。
そしてそのレファレンスの事例が集まっている「レファレンス共同データベース」というものがある。
「レファレンス協同データベース」(レファ協)はそれに参加している図書館と、国立国会図書館が協同で構築している。
そこに集められたこどもからの質問を紹介している本。
子供はわたしたち大人が忘れてしまっている視点から質問を投げかけてくるので、おもしろい。
そんな子供の疑問に応えるために、全国各地の司書さんが真摯に資料を探す様子がわかり、私にはとても勉強になる。
例えば、さっき見た鳥の名前は何だろう?というような気軽な疑問や、サンタはどこに住んでいるのかというファンタジックなもの、スポーツに関する専門用語の意味など多岐にわたっていて、読んでいて飽きない。
「図書館にまいこんだこどもの超大質問」の心に残った所
特に印象的だったのが、怖い本が読みたい、というもの。
司書さんが一緒に探していくつか読んでいくのだが、次はもっと怖い本を、その次はもっともっと怖い本を…とエスカレートしていったという。
最終的に、アンハッピーな結末(主人公が食べられる)の本を紹介したら、こどもはその結末に驚き、自分で話の続き(赤ずきんのような)を考えたという。
児童が読みたかったのは「ただこわいお話」ではなく「こわくても最後は大丈夫なお話」だったようです。
[回答]東京こども図書館分室 かつら文庫
本文より引用
レファレンスを行う際には依頼者との対話も大事で、それでどれだけ情報を得られるかで捜査の進み方も違ってくる。
この場合はこどもが読みたい本を提供しているうちに、そのこどもの無意識に司書さんが気づいた。
これはすごいことだと思う。
なぜこの話が印象に残ったかというと、私も以前小学生(4年生くらい)の来館者さんから怖い本をリクエストされたことがあり、あ、同じだ、と思ったからだ。
本格的なレファレンスの申し込みがあれば司書の資格がある職員さんがちゃんと受けるため私たちパート職員が答えることはないですが、日常来館した方のその場での要望にはできる限り応えます。
本を探すのが得意ではない私がまず思いついたのは、それ以前にこわいと話題になっていた次の絵本だった。
「いるの いないの」京極 夏彦:著/町田 尚子:イラスト
これは絵本だが子供の絵本の棚にはなく、726/キという分類になっていて大人の書棚にある。
(日本十進分類法では700番台は芸術・美術を表す。726は漫画.挿絵.童画)
この本は結構こわいと思うのだ。
わたしはそのこどもにこの絵本を差し出し、同僚にも手伝ってもらい日本の怪談(小泉八雲)なども提供したが、どうもピンとこないようだ。
どんな本がいいのかをもっと聞いてみると、「〇〇な●●が△△する話」と具体的なことを話してくれたが、私たちには見つけられなかった。
どうやら、学校の図書館で読んだことがある本らしかった。
レファレンスがうまくなるには、勉強と経験が必要だ。
そんな私でもうまく利用者さんが求める情報にたどり着けることもあって、そのときはすごくほっとする。
この本の副題に「司書さんは名探偵!」とあるのだが、そんなときは本当に事件を解決したかのような満足感が得られる。
しかし「本を探す依頼をされる」というのはありそうで意外とない(書名を言われての在庫確認を除いて)。
「図書館にまいこんだこどもの超大質問」をおすすめする人
・まさに自分の子供にいろんな面白い質問を日々投げかけられている保護者の方
・全国いろんなところの司書さんや学校の先生
まとめ
「図書館にまいこんだこどもの超大質問」こどもの大質問編集部編は、こどもの視点からのおもしろい質問に司書がどう応えるかが興味深くておもしろかった。
日々の図書館業務を行うペーパー司書の私も、少ない自身の経験を振り返ることができ勉強になった。
最後までお読みいただきありがとうございました。