本の紹介
タイトル:「もっと早く言ってよ。~50代の私から20代の私に伝えたいこと」
著者:一田憲子(いちだ のりこ)
出版社:扶桑社
2022年6月発行 191ページ
この本を読んだきっかけ
目にしたとき、50代の者として見過ごせませんでした。
パラパラとめくると、何か共感できそうな話がたくさんありそうだと感じました。
一つの章が短く、読みやすそうでした。
20代のうちに知りたかったことを50代の今聞いても遅いので、ただ共感したかったのだと思います。
感想
職業柄さまざまな人物にインタビューをされていた著者が、そこで得た考え方のエッセンスをちりばめた本という印象です。
成功者やキラキラ輝いている人にたくさん話を聞いていて、情報をたくさん持っています。
豊富な情報や経験から、幸せになるヒントや取り入れると良い前向きな考え方などをたくさん知っていて、をれを教えてくれています。
一田憲子さんは、ご自分でもおっしゃっていますが、優等生タイプでプライドが高く負けず嫌いとのことですが、時には赤裸々な本音の部分も隠さず書かれています。
なので「こう思っていたが、この人に聞いてこう思い直した」という著者の経験が実感を伴っていてよく理解できたし、自分もこのようにやってみようかなと素直に思えます。
20代の私へ50代になった今だからこそ分かったことを伝えるという形をとってはいますが、50代の私が読んでもあーそうだな、とかなるほどな、と思えるインスピレーションが得られるような本です。
文章が噛んで含めるように親しみやすく書かれています。
紹介されていた「黒麹甘酒」も取り寄せてみようかなと思っています。
共感した部分
いつまでたってもわからないことはある
いつかわかると思っていたことも、結局50代になってもわからないということが往々にしてあります。
例えば、
- 自分に合う職業は何なのか
- 何を目標に生きて、具体的に何をすればいいのか
- 何にお金を使うのが正解か
- 自分が一生楽しめる趣味は何か
のようなことです。
ずっと考えたり探したりしてきましたが、確信できたものはないです。
これだと思っても実現できないものもあるし、いつのまにか移ろっていくのです。
この本を読んで、それらはきっとこれからもわからないままなのかもしれないと思いました。
というか、その時々で変化していくこともあるのだと思いました。
だって生きているんですから。生きるということは、細胞が絶えず新しいものに変わっていくことですよね?
細胞から変わっていくのだから感じ方・考え方も変わっていくのが普通だと考えれば、そんなに悩まずにそのとき考えたベストを選択すればいいのではないでしょうか。
わからなくても決めちゃうの。だって、きっといつまでたってもわからないから。
本文より引用
ゴールや夢や目標は、「とりあえず」でいいってこと。
本文より引用
「完璧なゴール」を求めるから、その姿がいつまでたっても見えない。ゴールを決めるって、きっと船の舵を切るみたいなものなんじゃないかなあ。つまり、「そっち」へ進もうと決めさえすれば、大きくて重たい船も波の上をす~っと動き出す…。
本文より引用
とりあえず決めて、とりあえずそれに向かっていくことで前に進める。
前に進むことで状況が変化することもあるし、思ってもみなかった道が開けることもある。
そういうことなんですね。
不安に対する考え方
もし明日イヤなことがあったとしても、前日から「イヤな気分」を味わう練習なんてしなくていい。
本文より引用
とてもうれしい状況が訪れた時、この幸せを失いたくないからついつい心配して、いろいろ悪く予想して、実際にそうなったときショックを受けすぎないように一足先にその悪い状況を味わって練習してしまうこと、確かにあります。
でも目の前の幸せを心配のために減らしてしまったらもったいないですよね。
全部味わう。人生の残り時間が短くなった今、今を幸せに思わないとほんともったいない。
勇気をもって、そのときの幸せな気分を受け取っていきたいと思いました。
悪いことが起こったら、その時悲しめばいいですね。
「谷があるから山がある。山頂にいるのなんて、ほんの一瞬ですよ。下りてこないと次の山には登れない。だから谷にいる時を楽しめばいいんじゃない?そうすれば、また違う山に登れますよ」
本文より中尾ミエさんの言葉引用
悲しみの谷を出たら、新しい山に登り始めることができますね。
この年になってわかること
若い時はわかりませんでしたが、年を取っていくと疲れが増します。
体力も気力も失われていきます。
若い時はこのような話を聞いても「そんなものかな」程度に思うだけですが、本当の本当に気力が出なくなります。
しつこいですが本当です。
だからこの言葉には心から共感しました。
張り切らないとできないことは、絶対に長続きしない
本文より引用
張り切れば、できることもあるんです。1,2回くらいは。
でも次にまたやろうと思っていると、もうそんな気力は出てこないということになりがちなのです。
もう何度もそれを経験し、やっと私にもわかってきました。
「次は無理かもしれない」ということが。
なので「しくみ」をつくるのはいいやりかたですね。
一連の動きの中に、やらなくてはいけないことを組み込んでしまうことです。
具体的なヒントは本の中に書いてありました。
共感できなかった章
一つだけ、読んでいて実感がわかなかった章は「夫婦の関係って時間をかけて育てるもの。」という章。
人生の折り返し地点を過ぎたら、夫を見る目が少し変わるかもよ
本文より引用
とのことですが、私はいまだその境地には至っていません。
詳しいことは書きませんが。
折り返し地点を過ぎたけれどそんなふうにはなってないなとちょっと諦めというか半ば諦めています。
まあそこは人それぞれですね。
いずれそんな日が来るかもしれないと、期待せずに待っていようと思います。
読んはっとしたこと
一田憲子さんはお子さんがいらっしゃらないそうですが、お子さんのいる妹さん家族を見てこう思ったそうです。
違う世代の文化が家庭内にある
本文より引用
長い年月の中でずっと繰り返されてきた人間の営みというものが、こんなにもスバラシイ!
って感謝したくなる
本文より引用
私は子供が4人おり、毎日なにかと、かしましいと思っています。
もしも子供がいなかったとしたら、どんな生活だろうかと考えることもあります。
ですが”違う世代の文化が家庭内にある”と思うとそれはとても貴重なものではなかろうかと思いました。
今までそんな風にとらえたことがなかったので、その言葉がとても新鮮でした。
そう思うと確かに私がSNSになんとかついていこうとするのも、K-POPアイドルの顔と名前が一致するのも、若者言葉が通じるのも、子供らがいるからというのが大きいです。
子供がいることで少なくとも私は、違う目線を獲得し、興味・関心の幅が広がっています。
この本をおすすめしたい人
・残された人生、前向きに生きていきたい人
・何か面白いことを見つけたい人
・人生を変えるために今更すごく頑張ることはできかねるけど、ちょっとしたきっかけがあったらいいなと思う人
作者について
一田憲子
生年月日:1964年生まれ(59歳)
出身地:京都府
フリーライター。

<画像:Facebookからお借りしました>
この本の中を読んでもわかりますが、様々な人にインタビューされています。
そのせいもあってか引き出しがとても多い方だなと思います。
ちなみにこの本の中では以下の方々の言葉(や、教えてもらったこと)が登場します。
中尾ミエさん・島田由美子さん(ワインバー店主)・藤田一照さん(曹洞宗の僧侶)・松浦弥太郎さんご両親や妹さん友達仕事仲間ヘアメイクさん平井かずみさん(フラワーアーティスト)・鈴木尚子さん(ライフオーガナイザー)・EMIさん・為末大さん(陸上選手)・片桐はいりさん(女優)・辻和美さん(ガラス作家)・村上友美さん・コウケンテツさん
「大人になったら、着たい服」という本も作られました。
私も読んだことがあります。
同年代の大人の素敵な着こなしが載っていて参考にしたくなる本でした。
ブログ(HP)・フェイスブック・インスタもされています。
「ライター塾」というのを定期的に開催されているようです。
まとめ
一田憲子さんの「もっと早く言ってよ。~50代の私から20代の私に伝えたいこと」を読みました。
これから生きていくうえで取り入れてみたい小さな、しかし重要な考え方のヒントをたくさんもらえる本でした。
どの年代の人が読んでも得るものがあると思います。
50代でも、わくわくすることは見つけられそう。
変わるチャンスがいっぱいあることを教えてくれています。
それは頑張ってやることではなく、少しのチャレンジ、気の持ちようを変えるだけでも。
老いていく体と無くなっていく気力に無理をさせずとも、少しでも意識することで何かが変わっていくかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました。